SEISEI INSIGHTS
インサイト
財務アーキテクチャ・国際税制・事業承継に関する知見
国際税務コンプライアンス
国外資産をめぐる三つの調書制度 — 誰が、何を、いつ提出しているのか
「海外の資産の申告」と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは国外財産調書一つだけです。しかし内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(以下「国外送金等調書法」)は、提出する主体もタイミングも異なる複数の調書制度を並べて定めており、それらは相互に突き合わせることが可能な形で設計されています…
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CRSで交換される情報、交換されない情報 — 金融口座情報の自動的交換はどう組み立てられているか
「日本で開いた口座のことを、なぜ母国の税務当局が把握できるのか」— 国際的に資産をお持ちの方から、私たちはこの質問を繰り返し受けてきました。その背景には多くの場合、「自分が申告しない限り、他国の当局に情報が渡ることはない」という前提があります。共通報告基準(CRS: Common Reporting Standard)…
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自宅と保険をめぐる、二つの構造 — 小規模宅地等の特例と非課税枠
「自宅は1億円ほどです。私に万一のことがあれば、家族はいくら相続税を払うことになりますか」。日本に自宅と家族を持つ方から、私たちはこの問いを繰り返し受けます。前提を確認せずに答えることはできませんが、少なくとも「1億円がそのまま課税される」とは限りません。日本の相続税には、自宅と生命保険をめぐる二つの構造的な軽減措置が…
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生前贈与には、三つの経路がある — 暦年贈与だけでは動かないもの
「元気なうちに、財産を少しずつ子どもへ渡しておきたい。毎年110万円までは非課税ですよね」。日本で資産を築かれた方から、私たちはこの相談を繰り返し受けます。答えは「そのとおり、ただしそれは入口の一つにすぎません」です。仮に3億円の資産を、子二人へ毎年110万円ずつ渡すとすれば、単純計算で百年を超えます。暦年贈与は生前移…
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子への支出は、なぜ贈与にならないのか — 生活費・教育費と相続対策の構造
「相続税を抑えたいなら、早めに子どもへ財産を移しておくべきでしょうか」。日本で資産を築かれた方から、私たちはこの質問を繰り返し受けます。しかし、財産を「移す」こと自体には贈与税が課され、その最高税率は相続税と同じく55%です(相続税法第十六条・第二十一条の七)。移転を急ぐ前に、確認しておくべき構造があります。…
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家族で会社を営むと、相続財産はどう変わるのか — 家族法人という選択の構造とリスク
「家族で会社を経営しています。私に万一のことがあれば、相続税はどう計算されるのでしょうか」。事業をお持ちの資産家から、私たちはこうした相談を受けます。答えの出発点は、法人の資産と個人の資産は別物である、という一点にあります。…
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M&Aの着手金は危険信号か — 料金体系の構造で見極める
日本企業の買収を検討される方から、私たちは着手金についての戸惑いを繰り返し伺います。「着手金を求められた。これは危ない相手なのだろうか」。そう身構える気持ちには理由があります。着手金を受け取ったまま連絡が途絶える事例が現実に報告されているからです。しかし着手金という仕組みそのものが問題なのではありません。問題は、着手金…
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日本の相続税、はじめの一歩 — 3億円の遺産は、いくら子に遺せるのか
「日本で築いた資産を、子どもたちにいくら遺せるのか」— 在日の資産家の方から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。日本の相続税は最高税率55%、一方で母国(中国)には相続税そのものがありません。この差を前に、何をどう考えればよいのか。本稿では、仮に3億円の遺産があるとして、その税額がどのように決まるのかを、制度の…
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日本企業の買収でつまずく5つの論点 — 価格より先に確認すべきこと
魅力的に見える案件について、私たちがまず確認するのは価格ではありません。年間利益に対して割安に見える提示価格であっても、その数字の背後にある構造を確かめないまま送金に進めば、支払った資金が実質的に失われることがあります。海外から日本企業を取得する際、多くの場合につまずくのは、次の五つの論点です。価格の交渉は、これらを確…
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「経営・管理」在留資格とペーパーカンパニーの構造的リスク — なぜ「実体のない会社」は続かないのか
「日本で会社を設立すれば在留資格が取れる。資本金を用意し、毎年少し納税すれば、更新も問題ない」— 在留資格『経営・管理』を検討される方から、私たちはこうした説明を耳にすることが少なくありません。しかし税務と在留管理の構造から見ると、この理解には見落とされがちな前提があります。会社という「器」があることと、事業の「実体」…
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小口M&Aで「版図」を築く — buy-and-build の三つの型
「一社を十年かけて大きくするより、既にある会社を買って束ねるほうが速い」— 事業拡大の相談の場で、私たちはこの考え方に立つ経営者を数多く見てきました。大型買収だけがM&Aではありません。小口の買収を積み重ね、一つの事業の版図をつくる — いわゆる buy-and-build は、日本の中小企業の世界でこそ現実的な選択肢…
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高度専門職ポイント制の構造 — 「会社を経営する人」の配点は、研究者・技術者とは違う
「修士号があって、実務が10年あって、年収1,000万円なら、80点は堅い」— 日本での会社取得やビザ設計を検討される方から、私たちはこの種の見立てを繰り返し聞いてきました。数字そのものは、どこかで見た本物のポイント表から来ています。ただし、多くの場合、それは別のルートの表です。…
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事業承継の空白と、事業承継税制の特例 — 日本の中小企業をめぐる制度の枠組み
「日本人は、なぜ会社を外国人に売るのか」— 日本での事業取得や承継を検討される方から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。答えは「売りたいから」ではなく、多くの場合「承継の担い手が他にいないから」です。これは個々の経営者の事情である以前に、日本の中小企業が置かれた構造的な状況の反映です。…
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「高いか」ではなく「見合うか」 — 日本企業を買収するときの値付けの考え方
日本の会社の買収を検討される方から、私たちは繰り返し「これは高いのですか」と問われます。しかし、出発点となる問いは別にあります。「高いか、安いか」ではなく、「その価格が中身に見合っているか」。前者は相手の言い値を疑うだけの問いですが、後者は自分で値付けの構造を持つ問いです。本稿は、その値付けの考え方を一般的な情報として…
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ペーパーカンパニーという落とし穴 — 在留資格を「事業の実体」で支えるという考え方
「会社を一つ作れば在留資格が取れる」— 日本での事業と在留を検討される方から、私たちはこの種の相談を繰り返し伺います。会社を設立し、資本金を用意し、在留カードを手にする。ここまでは、確かに手続きとして成立します。問題は、その先にあります。本稿は、在留資格を「登記された会社」ではなく「事業の実体」で支えるという考え方を、…
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移住前の「税務健診」 — 立ち位置を移す前に確認すべきこと
「海外へ移住します」というご相談をいただくとき、私たちが最初に確認するのは渡航先ではありません。「移住前の税務健診は済んでいますか」という一点です。多くの場合、その言葉自体が初耳だという反応が返ってきます。そして経験上、この確認を飛ばしたまま身分を切り替えた方は、避けられたはずの税負担を負ってしまうことが少なくありませ…
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租税条約の濫用(トリーティー・ショッピング)はなぜ否認されるのか — 実体なき中間法人の限界
「香港に法人を設立し、中国からの配当に軽減税率を適用しています」— 中間持株会社を用いた配当設計について、私たちはこうした相談を繰り返し受けてきました。多くの場合、その香港法人には従業員がおらず、事務所もなく、配当を受け取る以外の事業もありません。低い税率だけを目的として締約国に置かれた器は、租税条約の濫用(トリーティ…
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「オフショアなら無税」という誤解 — 租税条約がない場合に中国で生じる源泉税
「BVIに法人を設立したので税率はゼロ、完璧な仕組みです」— オフショア法人を用いた資産管理について、私たちはこうした声を繰り返し聞いてきました。確かにBVIやケイマン、バミューダといった法域は、法人の利益そのものには課税しません。しかし問題は、利益が生まれる側ではなく、資金を中国から国外へ流出させる局面にあります。そ…
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生命保険信託という選択 — 保険金を「一度に渡さない」ための仕組み
私たちは、ご家族のために生命保険にご加入の在日資産家の方から、こんなお話を繰り返し伺います。「自分に万一のことがあっても、妻子は保険金を受け取れる。だから安心だ」。確かに受け取れます。ただし、二つの論点が見落とされがちです。ひとつは税務、もうひとつは「受け取った後」の設計です。…
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信託とは何か — 財産に「独立した人格」を与える仕組み
「信託をやりたい」— 資産をお持ちの方から、私たちはこの言葉を繰り返し聞きます。多くの場合、その背後にあるイメージは「財産をどこかに隠す」というものです。しかし信託の本質は、隠すことではありません。むしろその逆で、財産に一つの独立した位置づけを与え、特定の目的のためだけに管理される状態をつくる仕組みです。…
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民事信託 — 国外に出ずに組成できる、日本の家族の信託
「信託を組みたいが、そのためにオフショアで口座を開いたり、複雑な海外法人を用意したりはしたくない」— 在日の資産家の方から、私たちはこの相談を繰り返し受けます。実は、その多くは日本国内で完結します。日本の信託法が定める「民事信託」は、家族の間で設定できる仕組みだからです。…
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租税条約とは何か — 越境で所得を得る方が最初に理解すべき「二重課税回避」の構造
「香港で設立した会社なのに、中国子会社からの配当に20%も源泉徴収された」— 越境で事業を営む方から、私たちはこうした相談を繰り返し受けてきました。同じ一件の配当でも、租税条約を適用できるか否かで税率は大きく変わります。その分かれ目を、制度の構造として整理します。…
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「住所」はどこにあるか — 贈与税の納税義務を分ける居住地認定と、2017年改正が塞いだ抜け穴
「海外に住所を移せば、国外財産の贈与に日本の贈与税はかからないのか」— 資産の世代間移転を検討する方から、私たちはこの問いを繰り返し受けます。かつてこの構造が実際に争われ、国が敗訴した著名な事案があります。そこで何が問われ、その後の改正で何が変わったのかを、制度の構造として整理します。…
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税理士という制度をどう理解するか — 専門的支援を見極めるための構造的な視点
「うちの税理士はどうでしょうか」— 在日の資産家から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。サービスの良し悪しを尋ねているように聞こえますが、税務における専門的支援の価値は、印象ではなく制度の上に成り立っています。本稿は、税理士という制度の枠組みと、専門的支援を見極める際に押さえておくべき構造的な視点を、一般的な税…
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富裕層の年間コンプライアンス暦 — 「申告は年に一度」という思い込みが招くもの
「税金は3月の確定申告で済ませている」— 日本で所得を得て、母国に資産を持つ在日の資産家から、私たちはこの言葉を繰り返し聞いてきます。確定申告はたしかに年間の中心です。しかし、複数の国にまたがって所得や資産を持つ方にとって、義務は3月15日の一点に集約されるわけではありません。年間を通じて、それぞれ根拠条文も対象者も異…
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節税・脱税・租税回避 — 三本の線をどこで引くか
「個人の支出を全部会社の経費に入れています。これは節税ですよね」。経営者の方から、私たちはこの言葉を繰り返し聞いてきました。結論から申し上げると、それは節税ではありません。隠蔽・仮装による経費計上は、脱税に分類され得る行為です。節税・脱税・租税回避は、見た目が似ていても法的な扱いがまったく異なります。三本の線のどこに立…
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税務調査の通知が届いたら — 拒否できるのか、何を守れるのか
月曜の朝、税務署から電話が入る。「御社の状況を確認したいので、日程を調整させていただけますか」。在日で事業を営む経営者の方から、私たちはこの場面の相談を繰り返し受けてきました。多くの方が最初に抱くのは「拒否できるのか」「黙っていてよいのか」という問いですが、その前に押さえるべきは、自分がいま置かれている調査が「どの種類…
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日本の税務ペナルティの構造 — 加算税・延滞税から刑事罰まで
「申告が一か月ほど遅れた程度なら、大きな問題はないだろう」— 在日の事業者の方から、私たちはこうしたご質問を繰り返しお受けします。しかし日本の税務上のペナルティは、遅れた日数に応じて利息が穏やかに増えていく仕組みではありません。本税とは別に、定率の「加算税」が課され、しかもその種類は複数に分かれています。本稿では、その…
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信託による財産の隔離 — 守れるかを決めるのは「設定の時期」
「事業が苦しくなったとき、信託を使えば配偶者名義の資産を債権者から守れるのではないか」— 資産をお持ちの経営者の方から、私たちはこうしたご相談を繰り返しお受けしてきました。結論から申し上げると、信託による財産の隔離は法制度として確かに存在します。ただし、その効果を実際に享受できるかどうかは、ほぼ「いつ設定したか」で決ま…
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中国からの配当をどう扱うか — 在日華人経営者と「二重課税」の構造
私たちが在日華人の経営者から繰り返し受ける相談の一つに、「中国の会社から配当を受け取った。この収入は日本でも申告が必要なのか」というものがあります。母国の会社から出た利益であり、すでに中国側で税が引かれている。それでも日本で課税されるのか — 答えは、多くの場合「必要」です。問題は隠す・隠さないではなく、自分がどの課税…
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資産承継のロードマップ — 30代から70代まで、各段階で何を整えるか
「もっと早く着手しておけばよかった」。在日の資産家の方から、私たちはこの言葉を繰り返し聞いてきました。資産承継に用いる制度の多くは、それ自体が複雑なわけではありません。難しいのは順序とタイミングです。同じ制度でも、50代で整えるのと70代で慌てて使うのとでは、効果が大きく変わります。…
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国外転出時課税(出国税)— 「売却していない含み益」に課される税の構造
日本から母国へ戻る準備を進める資産家の方から、私たちは次のような言葉を繰り返し聞いてきました。「保有しているだけで、まだ売却していない。だから税金はかからないはずだ」。多額の含み益を抱えた上場株式を持ったまま出国を考えている場合、この認識は誤っている可能性があります。…
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ファミリーオフィスは「節税装置」ではない — 設立を検討すべき資産規模と、日本における本当の役割
「友人がシンガポールでファミリーオフィスを立ち上げた。自分も持つべきだろうか」— 一定規模の資産をお持ちの在日のお客様から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。多くの場合、最初に確認すべきは二つです。ファミリーオフィスは「いくらから意味を持つのか」、そして「日本で設立した場合、何が得られ、何は得られないのか」。…
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「人を移すのか、構造を移すのか」— シンガポール・香港への移転を検討する前に整理すべきこと
「友人が会社をシンガポールに移した。相続税もキャピタルゲイン課税もないと言う。本当か」— 私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。事実として、シンガポールと香港はいずれも相続税(遺産税)を廃止しており、株式等の譲渡益に対する課税も原則として課されません。日本との制度差は確かに大きい。しかし「では自分も移るべきか」とい…
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国外転出時課税(出国税) — 1億円の有価証券を持って日本を離れる前に
「日本で十分に資産を築いた。母国に戻ろうと思う」— こう考える在日資産家から、私たちは「出国そのものに税金がかかる」という制度の存在を知らないまま相談に来られる例を、繰り返し見てきました。手元の有価証券はまだ売っていない。それでも、日本を離れる時点で課税が生じうる。これが国外転出時課税、いわゆる「出国税」です。…
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CRSと国外財産調書 — 「母国の口座は日本に知られない」という誤解
「母国の銀行にある資産は、日本の税務当局には分からない」— 在日外国籍の資産家から、私たちはこの認識を繰り返し聞いてきました。母国に数千万円規模の預金や運用資産があり、日本では一度も申告したことがない。「そもそも日本側が把握できないのだから」という前提です。この前提は、すでに成り立たなくなっています。…
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生命保険と相続税 — 「非課税枠」と「納税資金」という二つの機能
「相続財産の大半が不動産で、相続税を納める現金がない」— 在日の資産家の方から、私たちはこの悩みを繰り返し聞いてきました。相続税は原則として現金での一括納付であり、財産が不動産に偏っていると、相続人は納税のために不動産を急いで売却するか、借入をするかの選択を迫られます。生命保険は、この問題に対して二つの異なる機能を果た…
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民事信託という選択肢 — 認知症と世代を超えた承継に備える「資産の運用ルール」
「家族信託は信託会社に依頼するもので、相応の資産がなければ使えないのではないか」— 在日華人の資産家の方から、私たちはこの認識を繰り返し聞いてきました。実際には、日本の民事信託(家族信託)は信託銀行や信託会社を介さず、家族の間の契約として組成することができます。設立そのものは難しくありません。難しいのは設計です。信託は…
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持株会社という設計 — 「稼ぐ機能」と「持つ機能」を分ける
「すでに事業会社がある。なぜもう一社つくる必要があるのか」。事業が軌道に乗ったオーナーから、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。答えは、機能の分離にあります。事業会社は稼ぐための器であり、持株会社は持つための器です。稼ぐ機能と持つ機能を同じ法人に同居させると、事業のリスクが資産にそのまま波及します。両者を分けるこ…
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家族法人と所得分散 — 「一人の法人」から「一家の法人」へ
「法人を設立して、自分に役員報酬を支払っている。これで十分のはずだ」。年商が一定規模に達した在日のオーナー経営者から、私たちはこうした言葉を繰り返し聞いてきました。配偶者が受発注や仕入先の対応を担い、子が事業のウェブまわりを手伝っている——それでも、社長一人だけが役員として報酬を受け取り、家族は無報酬のまま。ここには、…
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同じ所得でも税負担が変わる — 個人事業主と法人、その課税構造の違い
「法人化とは、手続きが一段増えるだけのことではないか」— 所得が伸びてきた個人事業主の方から、私たちはこの問いを繰り返し受けます。しかし、個人として所得を得る場合と法人を通じて事業を行う場合とでは、適用される課税構造そのものが異なります。本稿では、その差がどこから生まれるのかを、節税の効果額ではなく制度の構造として説明…
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稼ぐ・貯める・遺す・出る — ライフサイクルで見る日本の四つの課税局面
「日本でしっかり稼げるようになった。あとは静かに資産を築いていくだけだ」— 在日の事業家やプロフェッショナルの方から、私たちはこの言葉を繰り返し聞きます。ただ、日本の税制を一枚の地図として眺めると、資産形成の各段階に、それぞれ異なる税が待ち構えている構造が見えてきます。稼ぐとき、会社で稼ぐとき、次の世代へ遺すとき、そし…
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中国の相続税は導入されるのか — 在日華人が「制度が動く前」に整えておくべき資産の構造
「中国に相続税はありますか」— 在日華人の資産家の方から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。現時点での答えは「ありません」。ただし、それは「今後もない」という意味ではありません。問題は制度の有無ではなく、いつ、どのような設計で導入されるか、そしてその前に何を整えておけるか、という点にあります。…
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小規模宅地等の特例 — 自宅の土地評価を最大80%減額する構造
「自宅の土地が高く評価され、相続税が払えるか不安だ」— 不動産を中心に資産を持つ方から、私たちはこの懸念を繰り返し伺います。日本の相続税には、被相続人が住んでいた土地や事業に使っていた土地について、その評価額を大幅に減額する仕組みが用意されています。租税特別措置法第69条の4が定める「小規模宅地等の特例」です。…
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生命保険金の非課税枠 — 相続対策における「最も基本的な構造」
「現金で遺せば相続税がかかるが、保険なら違うのか」— 相続を控えた資産家の方から、私たちはこの問いを繰り返し受けてきました。結論から申し上げると、生命保険金は相続税の対象でありながら、現金とは異なる課税上の取扱いを受けます。その差を生むのが「非課税枠」と「受取人固有の財産」という二つの構造です。…
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生前贈与か、死後相続か — 「どちらが得か」ではなく「どう設計するか」
「いま住宅を子に渡してしまえば、亡くなってから渡すより税は軽くなりますか」— 資産の承継を考える方から、私たちはこの問いを繰り返し受けます。答えは「場合による」です。設計を誤れば、生前贈与のほうが重くなることもあります。本質は「渡すか・渡さないか」ではなく、「どの制度で、いくらを、何年かけて渡すか」という設計の問題です…
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一つの遺産、二つの法体系、複数の税 — 日中をまたぐ相続をどう構造で捉えるか
「親が日本で亡くなりました。日本にも中国にも不動産があります。どこから手を付ければよいのでしょうか」— 在日華人の資産家の方から、私たちはこうした相談を繰り返し受けてきました。一つの遺産が二つの国にまたがると、適用される法律も、踏むべき手続きも、課される税も一気に増えます。一手ごとに判断を誤れば、税負担が膨らむか、不動…
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日本を出ても相続税は追いかけてくる — 相続税の「10年ルール」という構造
「日本を離れて帰国すれば、日本の相続税はもう関係ない」— こうした前提でご相談に来られる方は少なくありません。私たちはまず、その前提の確認から始めます。日本の相続税は、国内に住所がなくなった後も一定期間、全世界の財産を課税対象として捉え続ける構造を持っているからです。…
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在日華人が亡くなったとき、相続は中国法か日本法か — 準拠法という最初の分岐点
在日のご家族から「遺産をどう分ければよいのか」とご相談を受けるとき、私たちが最初に確認するのは分割の中身ではありません。「どの国の法律で分けるのか」です。同じ家族構成でも、適用される法律が中国法か日本法かで、相続人の範囲も取り分も大きく変わります。この出発点を取り違えると、その後の議論はすべて土台を失います。…
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相続税:日本は最高55%、中国はゼロ — 在日中国人世帯が最初に直面する「認知の差」
中国に不動産を持ち、日本でも住宅を購入した在日中国人のご家族から、私たちはこの言葉を繰り返し聞いてきました。「中国の家には相続税がかからない。だから日本の家にもかからないだろう」。残念ながら、この前提は日本の制度には当てはまりません。日本に所在する財産を相続する場合、その税率は最高で55%に達します。「子に残すつもりだ…
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全世界所得課税と居住者区分 — 在日資産家が最初に確認すべき「税務上の立ち位置」
日本に十年以上住み、年収数千万円。母国には不動産が二件、証券口座が一つ。「日本の収入は日本で申告している。母国の資産は日本とは関係ない」— 在日外国人の資産家から、私たちはこの言葉を繰り返し聞いてきました。そして多くの場合、この認識は誤りです。所得税法第7条第1項第1号は、非永住者以外の居住者に対して「全ての所得」への…
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