よくあるご質問

家族信託・持株会社・遺言 — どの層で解くべきか

「家族信託をやったほうがいいですか」と聞かれることが多いのですが、この問いは順序が逆です。先に決まるのは解きたい問題がどの層にあるかで、信託はその層のひとつに効く道具にすぎません。層を取り違えたまま組成すると、費用をかけて問題が残ります。

家族信託(民事信託)で解けるのはどういう問題ですか

中心にあるのは「本人の判断能力が失われた後も、財産の管理・処分を止めないこと」です。これは遺言でも持株会社でも代替しにくい機能です。

遺言は死亡して初めて効力を持つため、生前の判断能力の低下には効きません。成年後見は財産の維持が原則で、積極的な活用や組み替えには向きません。信託はこの空白に効きます。逆にいえば、この空白が問題でないなら、信託である必然性は薄くなります。

家族信託のデメリット・注意点は何ですか

費用以外に、継続的な負担と、信託では触れない領域があることが実務上の論点になります。

  • 受託者の負担が続く:分別管理、帳簿・記録の作成、受益者への報告が、組成後ずっと続きます。組成時だけの作業ではありません。
  • 受託者を誰にするかが最大の難問:親族に任せれば利益相反と家族内の不信が、外部に任せれば継続性とコストが問題になります。
  • 信託財産にしていないものには効かない:組成後に取得した財産、入れ忘れた財産は対象外です。「信託を作った」と「財産が信託に入っている」は別です。
  • 身上監護は対象外:介護・医療・施設契約といった身上の保護は信託の機能ではなく、後見の領域です。
  • 損益通算の制限:信託不動産から生じた損失の扱いには制限があり、収益物件を入れる場合は事前に確認が要ります。
  • 遺留分の問題は消えない:信託にしたからといって遺留分に関する争いが構造的に消えるわけではありません。

国際要素がある場合はさらに、信託という制度そのものを相手国がどう性質決定するかという論点が乗ります。日本で有効に組成しても、他国で同じ効果が認められるとは限りません。

持株会社(法人化)とはどう使い分けますか

大まかには、議決権と事業のコントロールを集約したいなら法人、判断能力の断絶に備えたいなら信託、死亡時の帰属だけを決めたいなら遺言です。

解きたい問題主に効く層
判断能力を失った後も管理・処分を続けたい信託
株式の分散を防ぎ、議決権を集約したい持株会社
事業と個人資産の責任を切り分けたい法人格
死亡時に誰が何を取得するかを決めたい遺言
どの国の法律で決まるかを動かしたい保有主体と資産の所在地の設計

実際の案件では複数が併存します。重要なのは「信託か法人か」という二択ではなく、どの問題をどの層に割り当てるかの配分です。

費用の相場を教えてもらえますか

当社は信託組成を業務として行っていないため、相場を提示しません。持っていない数字を書くことはしません。

費用は公証人手数料や登録免許税といった法定の実費と、専門家報酬に分かれます。法定部分は公証人手数料令・登録免許税法に基づき、専門家報酬は事務所ごとに異なります。組成をご依頼になる場合は、信託を実際に手がける司法書士・弁護士から直接見積りをお取りください。当社にご相談いただく局面は、その手前の「そもそも信託で解くべき問題か」という判断です。

当社が行わないこと

信託契約書の作成、信託登記、公正証書化の手配、受託者業務の受任は行いません。これらは司法書士・弁護士・信託会社の業務です。相続税・贈与税の計算と申告は税理士法第2条の業務にあたり、提携税理士が担当します。当社が担うのは、どの層で解くかを決める前段の設計と、複数の層をまたいだときの整合性の確認です。

関連法令

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ご相談

「信託をやるべきか」ではなく「この問題はどの層で解くのか」からご相談ください。 ceo@seisei.tokyo までご連絡ください。


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