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持株会社・事業会社・一般社団法人 — 三層構造について条文が定めていること

2026-09-10

「利益も株式も不動産も、すべて個人名義に集まっています」— 事業が一定の規模に達したオーナーの方から、私たちはこの相談を繰り返し受けてきました。答えとして持ち出されるのが、持株会社・事業会社・一般社団法人からなる三層構造です。しかし、階層を増やすこと自体が何かを軽くするわけではありません。層と層のあいだで条文が課している要件こそが、構造の実質を決めます。

層主な機能根拠となる主な規定
持株会社事業会社株式の保有と、配当の再投資原資への転換法人税法第23条
事業会社事業の遂行と、役員給与・退職給与を通じた所得の配分法人税法第34条、所得税法第30条
一般社団法人持分のない器としての資産保有相続税法第66条、第66条の2

持株会社の層:受取配当等の益金不算入

内国法人が他の内国法人から受ける配当等の額は、法人税法第23条第1項により、株式等の区分に応じて益金の額に算入されません。全額が対象となるのは完全子法人株式等で、同条第5項はこれを「配当等の額の計算期間を通じて内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人の株式等として政令で定めるもの」と定義しています。決算期末に100%保有していれば足りるのではなく、計算期間を通じた関係が問われます。それ以外の区分では、益金不算入となるのは配当等の額の一部にとどまります。

さらに同条第7項により、この規定は確定申告書等に益金不算入額とその計算明細を記載した書類の添付がある場合に限って適用され、その金額は記載額を限度とします。手続の不備が、そのまま効果の喪失につながる構造です。

事業会社の層:役員給与と退職給与

役員に対する給与は、業績連動給与に該当しない退職給与や、使用人としての職務を有する役員に支給するその職務に対する部分などを除き、法人税法第34条第1項各号に掲げる給与のいずれにも該当しなければ損金に算入されません。第1号の定期同額給与とは、支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものを指します。加えて同条第2項は不相当に高額な部分を損金不算入とし、その判定要素を法人税法施行令第70条第1号が、役員の職務の内容や、同種の事業を営み事業規模が類似する法人の支給状況等と定めています。金額を先に決めて職務を後から付ける設計は、この判定に耐えません。

退職給与も同様で、同令第70条第2号が、業務に従事した期間、退職の事情、同種・類似規模の法人における支給状況等に照らした相当額を超える部分を損金不算入としています。受け取る側では、所得税法第30条第2項が、退職所得の金額を収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1相当額としています。ただし、役員等としての勤続年数が5年以下の者が受ける特定役員退職手当等にはこの2分の1が適用されず、役員等以外としての勤続年数が5年以下の者が受ける短期退職手当等では、残額のうち300万円以下の部分にのみ適用されます。

一般社団法人の層:最も誤解されている層

一般社団法人には持分がないため、法人名義の資産は個人の相続財産に入らない、と説明されることがあります。しかし相続税法は、この形式に対して複数の対抗規定を置いています。

第66条の2は、理事である者(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合において、その法人が特定一般社団法人等に該当するときは、相続開始時の純資産額を同族理事の数に1を加えた数で除した金額を被相続人からの遺贈により取得したものとみなし、その法人に相続税を課すと定めています。該当性の基準は同条第2項第3号の二つです。イは相続開始の直前における同族理事の数が理事の総数に占める割合が2分の1を超えること、ロは相続開始前5年以内に同族理事の割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。いずれか一方を満たせば該当します。

見落とされやすいのが「同族理事」の範囲です。同項第2号は、被相続人・配偶者・三親等内の親族のほか、政令で定める特殊の関係のある者を含むとしており、相続税法施行令第34条第3項は、被相続人の使用人、被相続人から受ける財産によって生計を維持している者、被相続人が会社役員となっている他の法人の役員又は使用人までを含めています。血縁関係のない取引先や自社の従業員を理事に加えても、それだけで同族理事の割合が下がるとは限りません。

さらに第66条第4項は、持分の定めのない法人への贈与・遺贈により親族等の相続税・贈与税の負担が不当に減少すると認められるときは、その法人を個人とみなして課税すると定めています。

構造は「設計」ではなく「運用」

国外財産についても前提は変わりました。その年の12月31日において価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者を除く)は、翌年6月30日までに国外財産調書を提出しなければなりません(国外送金等調書法第5条第1項)。要件は、判定の時点も期間も一律ではありません。確認すべきは次の三点です。

  • 各層が担う機能は何か — 機能の説明がつかない層は、構造ではなく形式です
  • 各要件はいつ判定されるか — 配当等の計算期間を通じてか、相続開始の直前か、その前5年間か、毎年12月31日か
  • 手続要件は満たされているか — 申告書への明細の添付は、実体要件と同等の重みを持ちます

構造は一度組めば完成するものではなく、毎年の判定に耐え続けて初めて意味を持ちます。年度内に計画し、毎年見直す前提で設計することが出発点です。


本稿は一般的な税制情報の提供を目的とするものであり、個別の税務相談に該当するものではありません。具体的な申告・税額計算については、提携税理士をご紹介の上、有資格者が対応いたします。

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