高度人材ポイント制による永住許可
1. 概要
高度人材ポイント制は、高度な専門的・技術的な能力を有する外国人を積極的に受け入れるために設けられた制度です。この制度では、学歴、職歴、年収、年齢などの項目に応じてポイントを計算し、一定のポイント(例:70点以上)に達した申請者を「高度人材外国人」として認定します。認定されると、在留資格「高度専門職」が付与され、在留管理上の優遇措置(複合的な在留活動の許容、在留期間「5年」の付与、永住許可要件の緩和等)を受けることができます。特に、本制度を利用した永住許可への道筋は、従来の10年在留要件を大幅に短縮できる可能性がある点で、多くの高度人材にとって重要な選択肢となっています。
2. 適用対象・シナリオ
この制度は、日本で高度な知的活動に従事しようとする外国人を対象としています。具体的には、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つの分野に分かれており、研究者、技術者、経営者などが該当します。永住許可の申請を検討するのは、主に以下のようなシナリオです:
- 現在「高度専門職」の在留資格で日本に在留し、ポイント計算で一定の高い点数を維持している方が、早期に永住権を取得したい場合。
- 他の在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」)で在留している方が、まず高度人材ポイント制による「高度専門職」への変更許可を受け、その後、永住許可要件の緩和を利用する場合。
3. 核心的な結論
- 要件緩和の恩恵:高度人材ポイント制で一定の高いポイントを維持している場合、通常は10年必要な「継続在留期間」が大幅に短縮されます(具体的な年数はポイントに応じて異なります)。
- ポイントの維持が鍵:永住許可申請時だけでなく、申請に至るまでの必要な在留期間においても、所定のポイントを維持していることが求められます。
- 包括的な審査:ポイント要件を満たすことは必要条件ですが、永住許可自体は、素行が善良であること、独立した生計を営むに足りる資産または技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合致することなど、総合的な観点から審査されます。
4. 手続き・操作手順
ステップ1: 準備
- ポイント計算と確認:出入国在留管理庁の「高度人材ポイント計算シミュレーション」ツール等を用いて、自身のポイントを正確に計算します。学歴証明書、職歴証明書、年収を証明する書類(納税証明書、給与明細等)、日本語能力試験の合格証明書など、ポイントの根拠となる全ての書類を準備します。
- 永住許可要件の確認:自身の状況(現在の在留資格、在留期間、ポイント数)が、高度人材としての永住許可要件(「1号」または「2号」の区分、必要な在留期間等)を満たしているかを確認します。具体的な要件は公式情報源で確認してください。
- 必要書類の収集:永住許可申請書の他、ポイント計算表、ポイントの根拠書類、身元保証関係書類、住民税の納税(又は免除)証明書及び課税(又は非課税)証明書、申請前1年間の所得証明書、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する書類など、多岐にわたる書類を準備します。
ステップ2: 申請・提出
- 申請先:現在住んでいる地域を管轄する地方出入国在留管理官署に申請します。
- 申請方法:申請人本人が窓口に出頭して申請します。申請書類に不備がないか事前に十分確認してください。
ステップ3: 審査・確認
- 審査期間:申請から許可までの標準処理期間は、おおむね4ヶ月から6ヶ月程度ですが、案件によって前後します。
- 結果の通知:審査結果は、申請時に受け取る「申請受付票」に記載された照会先(電話番号等)で、申請から約2~4ヶ月後に確認できる場合があります。許可された場合は、在留カードに「永住者」との在留資格が記載されます。
- 不許可の場合:不許可となった場合、理由は通知されませんが、不服申立て(異議申出)を行うことはできます。
5. よくある質問(FAQ)
Q1: 高度人材ポイント制で永住許可を受けるために必要な在留期間はどのくらいですか? A1: 必要な在留期間は、獲得したポイントによって異なります。一定の高いポイントを維持している場合、通常の10年よりも大幅に短い期間で申請資格が得られます。具体的な年数は、出入国在留管理庁の最新の基準をご確認ください。
Q2: 申請時に70点あれば永住許可は確実ですか? A2: ポイント要件を満たすことは必須条件ですが、永住許可は前述の通り、素行、生計能力、日本の利益との適合性など多角的に審査されます。ポイントが高いからといって許可が保証されるものではありません。
Q3: ポイントは申請時だけでなく、過去の在留期間中も維持する必要がありますか? A3: はい、永住許可申請の要件として、必要な在留期間を通じて所定のポイントを維持していることが求められます。例えば、3年間の在留を要件とする場合、その3年間ずっと基準点以上のポイント状態であったことを証明する必要があります。
Q4: 家族(配偶者や子)も同時に永住許可を申請できますか? A4: 家族の永住許可申請は、原則として主たる申請者(高度人材)が先に永住許可を受けた後、それぞれ個別に申請することになります。ただし、配偶者や子は「定住者」などの在留資格で在留することが可能です。
Q5: 永住許可を得た後、ポイントが下がってしまった場合、永住資格は取り消されますか? A5: 永住許可が一度付与された後、ポイントが下がったことのみで永住資格が直ちに取り消されることはありません。ただし、永住者の在留資格は、在留カードの更新期間(7年ごと)に他の永住許可要件(素行等)を満たしているかどうかが改めて確認されます。
6. リスクとコンプライアンス
- 情報の正確性: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な案件については、必ず出入国在留管理庁の公式発表や専門家(行政書士等)にご確認ください。制度や要件は変更される可能性があります。
- 虚偽申請の禁止: ポイント計算の根拠となる経歴や年収等について虚偽の申告をすることは、在留資格の取消しや強制退去の原因となり、将来の在留申請にも重大な悪影響を及ぼします。
- 継続的な要件確認: 申請準備から許可取得まで時間を要するため、その間に自身のポイント状況(特に年収)や制度自体に変更がないか、常に最新情報を確認することが重要です。
7. 参考と出典
- 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制」 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_2016_point_system.html
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001374128.pdf
- 出入国在留管理庁「高度人材ポイント計算シミュレーション」 https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/visa_point_calc.html
- 出入国在留管理庁「申請手続き(永住許可)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-5.html