審査基準(素行・生計・納税等)について

概要

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)に基づき、在留資格の認定や在留期間の更新、在留資格の変更等の申請を行う際には、法務大臣が定める審査基準を満たす必要があります。この審査基準には、申請人の素行生計納税状況などが含まれ、在留の適正性を総合的に判断する上で極めて重要な要素となります。これらの基準を満たさない場合、申請が不許可となる可能性があります。

適用対象・シナリオ

この審査基準は、以下のような在留関連手続きを行うすべての外国人(中長期在留者等)に適用されます。

  • 在留資格認定証明書交付申請
  • 在留期間更新許可申請
  • 在留資格変更許可申請
  • 永住許可申請(特に重要視されます)
  • その他、在留状況に係る諸申請

核心的な結論

  • 素行が善良であること:日本の法律を遵守し、社会の秩序を乱す行為がないことが求められます。犯罪歴や反社会的勢力との関係の有無が審査されます。
  • 独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有すること:本人(及び家族)の生活が安定しており、公共の負担となることなく生活できることが重要です。収入の額と安定性がポイントとなります。
  • 納税義務等を履行していること:所得税、住民税、消費税、社会保険料等の公的負担を適正に納付していることが必須条件です。未納があると不許可の重大な理由となります。
  • 総合判断:上記の各要素は単独で判断されるのではなく、申請人の全体像(在留歴、家族状況、日本社会への貢献度等)と合わせて総合的に審査されます。

手続き・操作手順

審査基準そのものは「手続き」ではありませんが、各種申請において以下の点を意識して準備・手続きを進める必要があります。

ステップ1: 準備

  1. 自己評価:自身の在留状況を振り返り、法律違反(交通違反を含む)がないか、収入は安定しているか、税金や保険料に未納はないかを確認します。
  2. 書類の確認と収集
    • 素行関連:無犯罪証明書(国によっては必要)、交通事故や法令違反の記録がないことの説明資料。
    • 生計関連:在職証明書、給与明細、納税証明書(源泉徴収票)、預金残高証明書、契約書(自営業者の場合)など、収入と資産を証明する書類。
    • 納税関連納税証明書(その1「課税(又は非課税)証明書」及びその2「納税証明書」) が最も重要です。住民税と所得税の両方について、市区町村役場や税務署で取得します。社会保険料納付証明書も併せて準備します。

ステップ2: 申請・提出

  1. 申請する在留手続きに応じた申請書類を出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等で確認し、必要書類を整えます。
  2. 上記で準備した「素行・生計・納税」に関する証明書類を、申請書類に加えて提出します。永住許可申請などでは特に詳細な書類が要求されます。
  3. 申請書類を管轄の出入国在留管理局に提出します。

ステップ3: 審査・確認

  1. 出入国在留管理庁の審査官が提出書類を基に審査を行います。必要に応じて追加書類の提出を求められる場合があります。
  2. 審査結果は、申請人に通知されます。不許可の場合、その理由が通知されることもあります(全ての場合ではありません)。

よくある質問(FAQ)

Q1: 過去の軽微な交通違反(スピード違反等)は「素行不良」になりますか? A1: 単独の軽微な違反であれば、直ちに不許可理由とはなりません。ただし、繰り返し違反を犯している場合や、重大な違反(飲酒運転等)の場合は、素行要件を満たさないと判断される可能性が高まります。申請時に事実を正直に申告し、反省の態度を示すことが重要です。

Q2: 収入の基準となる具体的な金額はありますか? A2: 公開されている明確な最低収入額の基準はありません。申請人の家族構成、居住地域、生活様式などを考慮し、「安定した生計を営むに足りる」かどうかが個別に総合判断されます。目安としては、世帯収入が日本人の平均世帯収入と同等程度であることが一つの参考となりますが、あくまで参考です。

Q3: 住民税を一度忘れて未納になったことがあります。申請に影響しますか? A3: 過去に未納があっても、申請時までに全額納付済みであることが原則です。未納のまま申請すると、ほぼ間違いなく不許可となります。納付が困難な事情があった場合は、市区町村と相談の上、分割納付等の措置を取り、納税証明書上で「納税済み」の状態にしておくことが不可欠です。

Q4: フリーランス(自営業)の場合、生計の証明はどうすればいいですか? A4: 確定申告書の控え(直近数年間分)、納税証明書、銀行口座の入金履歴(業務報酬の振込記録)、複数の取引先との契約書など、収入の安定性と継続性を客観的に証明できる書類を幅広く提出することが有効です。

Q5: 会社員ですが、納税証明書は自分で取得する必要がありますか? A5: 所得税の源泉徴収票は会社が発行しますが、住民税・所得税の納税証明書は、原則として申請人自身が居住地の市区町村役場(住民税)と税務署(所得税)で取得する必要があります。会社は代行できません。

Q6: 審査期間中に転職した場合はどうなりますか? A6: 生計要件に重大な影響を与える可能性があります。速やかに出入国在留管理局へ届出(「所属機関に関する届出」)を行うとともに、新しい職場での在職証明書や給与明細などを提出し、生計が維持されることを説明できるように準備する必要があります。

リスクとコンプライアンス

  • 虚偽申告の禁止:申請書類に虚偽の記載をしたり、偽造書類を提出したりすると、在留資格の取消しや強制退去の対象となる重大な違反行為です。
  • 納税義務の厳格な履行:税金や社会保険料の未納は、在留資格の更新や永住許可の審査において最も深刻な不許可理由の一つです。経済的に困難な場合でも、役所に相談して適切な手続きを取ることが重要です。
  • 継続的なコンプライアンス:許可が下りた後も、在留中の法令遵守(納税を含む)は継続する義務があります。次回の更新審査の対象期間となります。

参考と出典

関連トピック

無料で始める見積作成