高度専門職(高度人材)の在留資格について
1. 概要
高度専門職(高度人材)は、高度な専門的知識や技術を有する外国人を積極的に受け入れるために設けられた在留資格です。ポイント制を採用しており、学歴、職歴、年収、年齢などの項目で一定のポイントを獲得すると、複数の優遇措置が受けられます。日本の経済成長と国際競争力の強化を目的として、2012年に導入され、2017年には制度が拡充されました。
2. 適用対象・シナリオ
この在留資格は、以下の3つの活動分野に該当し、ポイント計算表で一定以上のポイント(現在は70点以上)を獲得できる高度な知識や技術を持つ外国人に適用されます。
- 高度学術研究活動(1号イ): 大学や公的機関等での研究、研究指導、教育活動。
- 高度専門・技術活動(1号ロ): 民間企業等での自然科学や人文科学の分野に属する知識・技術を要する業務。
- 高度経営・管理活動(1号ハ): 日本における事業の経営または管理に従事する活動。
3. 核心的な結論
- ポイント制による客観的・透明性の高い審査が行われます。
- ポイントが高いほど、在留や永住申請に関して優遇措置(下表参照)が受けられます。
- 活動範囲が広く、配偶者の就労や親の帯同、家事使用人の帯同も一定条件下で認められます。
- 在留資格「高度専門職」での在留期間は、5年、無期限(ポイント80点以上で3年経過後申請可能)などがあります。
| 優遇措置の内容 | 高度専門職(70点以上) | 高度専門職(80点以上) |
|---|---|---|
| 複合的な在留活動の許可 | 〇 | 〇 |
| 在留歴5年での永住許可 | 〇 | 〇 |
| 在留歴1年での永住許可 | - | 〇 |
| 配偶者の就労 | 〇(原則無制限) | 〇(原則無制限) |
| 親の帯同 | 条件付きで可能 | 条件付きで可能 |
| 家事使用人の帯同 | 条件付きで可能 | 条件付きで可能 |
| 入国・在留手続の優先処理 | 〇 | 〇 |
4. 手続き・操作手順
ステップ1: 準備
- ポイント計算: 出入国在留管理庁の「高度人材ポイント計算表」を用いて自己評価を行い、70点以上を目指します。学歴、職歴、年収、年齢、その他(日本語能力、大学評価、資格等)の項目からポイントを算定します。
- 必要書類の確認・収集: 申請に必要な書類を確認し、準備します。主な書類は以下の通りです。
- 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書)
- 写真
- ポイント計算の根拠となる全ての証明書類(学位証明書、職歴証明書、年収見込証明書、日本語能力試験合格証明書など)
- 申請人の活動内容を証明する資料(雇用契約書、事業計画書など)
- 申請人及び配偶者等のパスポート、在留カード(国内申請の場合)
ステップ2: 申請・提出
- 日本国外から申請する場合(新規入国): 受け入れ機関(雇用主等)が、地方出入国在留管理局に対して「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。証明書が交付された後、申請人が在外公館で査証(ビザ)を取得し、来日します。
- 日本国内から申請する場合(資格変更): 現在他の在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」)で在留している方が、自らまたは受け入れ機関を通じて、地方出入国在留管理局に「在留資格変更許可申請」を行います。
ステップ3: 審査・確認
- 出入国在留管理庁による審査が行われます。高度専門職は優先的に処理されます。
- 許可されると、「在留資格認定証明書」が交付されるか(国外申請)、「在留資格変更許可」の印が押されます(国内申請)。
- 許可後、新しい在留カードが交付されます。活動内容や優遇措置の範囲を確認します。
5. よくある質問(FAQ)
Q1: ポイント計算で、複数の大学の学位を持っていますが、ポイントは加算されますか? A1: 原則として、最も高い学位のポイントのみを算定します。ただし、「2つ以上の博士号・修士号を有する」といった特定の項目については、追加ポイントが付与される場合があります。詳細はポイント計算表でご確認ください。
Q2: 現在「技術・人文知識・国際業務」で働いています。高度専門職に変更するメリットは何ですか? A2: 永住許可申請までの在留期間の短縮(1年または3年)、配偶者の就労制限の緩和、親や家事使用人の帯同可能性、在留活動の範囲が広がるなど、多くの優遇措置が受けられます。
Q3: 一度許可された後、ポイントが70点を下回った場合、在留資格は取り消されますか? A3: 更新時の審査では、引き続き高度専門職としての活動を行っているか、ポイント基準を満たしているかが審査されます。更新時にポイントが70点未満の場合、更新が許可されない可能性があります。ただし、日常的にポイントを維持しているかどうかの監視があるわけではありません。
Q4: 配偶者の就労許可は自動的に付与されますか? A4: 高度専門職の配偶者として「家族滞在」の在留資格で在留する場合、就労資格外活動許可を申請すれば、原則として就労時間や職種に制限なく働くことができます。許可申請は必要です。
Q5: 親を帯同させるための「常時同居」と「世話を必要とする」状態とは何ですか? A5: 「常時同居」は、物理的に同じ住居で生活することを指します。「世話を必要とする」状態とは、妊娠・出産、子の養育、疾病・けが等の理由で、日常生活を送る上で介助や看護を必要とする状態をいいます。客観的証明書類(医師の診断書等)の提出が必要です。
6. リスクとコンプライアンス
- 申請時に提出した書類に虚偽の記載があった場合、在留資格の不許可や取消し、将来の申請への悪影響につながります。
- 許可後も、申請時のポイント算定の基礎となった事実(例:年収)に大幅な変更があった場合、更新時に影響する可能性があります。
- 優遇措付の条件(例:親帯同のための「常時同居」)を満たさなくなった場合、該当する優遇措置の対象外となることがあります。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な案件については、必ず出入国在留管理庁または専門家(行政書士等)にご相談ください。
7. 参考と出典
- 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制」 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00115.html
- 出入国在留管理庁「高度専門職に関するQ&A」 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00118.html
- 出入国在留管理庁「ポイント計算表」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001342156.pdf
- 出入国在留管理庁ホームページ https://www.moj.go.jp/isa/
- 入管法(出入国管理及び難民認定法)別表第1の2