公証人による定款認証
概要
公証人による定款認証は、日本で株式会社を設立する際に、定款(会社の基本規則)の作成と効力発生のために必要な法的手続きです。この認証により、定款の記載内容が法令に適合していることが公的に証明され、会社設立の基礎となります。特に、資本金が1円以上であれば株式会社の設立が可能ですが、定款認証は設立プロセスにおける必須のステップです。
適用対象・シナリオ
この手続きは、日本国内で株式会社を新たに設立しようとする個人またはグループに適用されます。具体的には、発起人が定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。合同会社(LLC)などの持分会社を設立する場合は、原則として定款認証は不要ですが、株式会社設立においては法律で義務付けられています。
核心的な結論
- 定款認証は株式会社設立の法的要件であり、これを経なければ会社の設立登記はできません。
- 認証を受けることで、定款の成立日時が明確になり、会社の設立時期に関する重要な証拠となります。
- 認証手数料が発生します。金額は資本金等に応じて変動するため、事前に確認が必要です。
- 電子定款による認証も可能で、印紙代の節約につながります。
手続き・操作手順
ステップ1: 準備
- 定款の作成: 会社の目的、商号、本店所在地、資本金の額、発行可能株式総数、発起人の氏名・住所など、法律で定められた事項を記載した定款を作成します。雛形を参考にすることもできますが、専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に相談することをお勧めします。
- 必要書類の確認: 発起人全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)を取得します。代理人(弁護士等)が手続きを行う場合は、委任状も必要です。
- 公証役場の選択: 定款に記載する「本店所在地」を管轄する法務局の管内にある公証役場、または発起人の住所地を管轄する公証役場で手続きが可能です。事前に電話で予約をするとスムーズです。
ステップ2: 申請・提出
- 公証役場への訪問: 発起人またはその代理人が、作成した定款の原案、発起人の印鑑証明書、身分証明書(運転免許証等)、認証手数料を持参して公証役場を訪れます。
- 内容の確認と認証: 公証人が定款の内容が法令に違反していないかなどを審査します。問題がなければ、公証人が定款に認証文を付記し、署名・押印します。この時、定款の謄本(認証済み定款の写し)が交付されます。
ステップ3: 審査・確認
公証人による審査は、主に定款の記載内容が会社法などの法令に適合しているかどうかを確認するものです。形式的な不備(押印漏れ、記載漏れ)や明らかな法令違反(例えば、1株の金額が1円未満など)があれば、その場で指摘・修正を求められます。認証が完了すると、公証人から「定款認証済証明書」または認証済みの定款謄本が交付され、これをもって次の設立登記手続きに進むことができます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 定款認証の手数料はいくらですか? A1: 手数料は資本金の額などに応じて法律で定められています。具体的な金額は、公証人手数料令を参照するか、直接公証役場にお問い合わせください。
Q2: 電子定款とは何ですか? A2: 紙の代わりに電子データ(PDF)で作成した定款を、公証人にオンラインで送付して認証を受ける方法です。紙の定款には収入印紙(資本金の額に応じて数万円)の貼付が必要ですが、電子定款ではこれが不要となり、費用を節約できます。
Q3: 発起人が海外に住んでいる場合はどうすればいいですか? A3: 発起人が国外に居住している場合、印鑑証明書の代わりに、在外公館(大使館・領事館)で発行される署名証明書等が必要になることがあります。詳細は公証役場に事前確認してください。
Q4: 定款は認証後でも変更できますか? A4: できます。会社設立後、定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要であり、変更内容によっては公証人の認証が必要な場合(例えば、商号や目的の変更)と、不要な場合があります。
Q5: 公証役場はどこで探せますか? A5: 日本公証人連合会のウェブサイトで、地域別の公証役場一覧を検索できます。
リスクとコンプライアンス
- 不備・違反のリスク: 定款の内容が法令に違反している場合、公証人は認証を拒否します。設立登記後でも、無効と判断されるリスクがあります。
- 虚偽記載のリスク: 定款に虚偽の記載をした場合、罰則の対象となる可能性があります。
- 専門家への相談: 定款は会社の憲法とも言える重要な書類です。特に特殊な事業目的や組織設計を考える場合は、弁護士や司法書士などの専門家に作成を依頼することを強くお勧めします。
- 免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。実際の手続きに当たっては、必ず最新の法令と公式情報を参照し、必要に応じて専門家に相談してください。
参考と出典
- 法務省:商業登記・法人登記 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00138.html
- 日本公証人連合会 https://www.koshonin.gr.jp/
- e-Gov法令検索「会社法」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086
- e-Gov法令検索「公証人手数料令」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000252
関連トピック
- 株式会社の設立登記手続き(法務省)
- 印紙税額一覧表(定款用)(国税庁)
- 電子定款認証システム(日本公証人連合会)