青色申告の承認を取り消された場合の対応(資格喪失届)

1. 概要

青色申告の承認を取り消された場合、所轄の税務署長に対して「青色申告の承認を取り消された場合の届出書」(通称:資格喪失届)を提出する必要があります。この届出は、青色申告者としての特典(例えば、青色申告特別控除、各種引当金の計上など)を受ける資格を失ったことを税務署に正式に報告するための手続きです。提出期限を守らずに放置すると、税務調査の対象となったり、加算税が課される可能性があるなど、税務リスクが高まります。

2. 適用対象・シナリオ

この届出が必要なのは、以下のいずれかの事由により、青色申告の承認を取り消された個人事業主または法人です。

  • 税務署長から青色申告の承認を取り消す旨の通知を受けた場合。
  • 青色申告の承認の前提となる「帳簿書類の備付・保存」などの要件を満たせなくなったと自ら判断した場合。
  • 事業を廃止または休止した場合。
  • 不動産所得のみの事業で、前々年の不動産所得の金額が赤字(事業所得等との通算前)となった場合(一定の要件あり)。

3. 核心的な結論

  • 資格喪失の事実が生じた日から2か月以内に所轄税務署へ提出することが法律で義務付けられています。
  • 提出が遅れると、無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。
  • 届出を提出した後は、原則としてその年分以後の所得税の確定申告は白色申告(または簡易簿記による青色申告)によることになります。
  • 再度青色申告を希望する場合は、新たに「青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。

4. 手続き・操作手順

ステップ1: 準備

  1. 事由の確認: 上記「適用対象・シナリオ」に該当する事由が発生したことを確認します。
  2. 必要書類の確認: 提出する書類は「所得税の青色申告の承認を取り消された場合の届出書」です。用紙は税務署の窓口で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

ステップ2: 申請・提出

  1. 記入: 届出書に必要事項を記入します。主な記載項目は以下の通りです。
    • 提出者の氏名(法人名)、住所、捺印
    • 納税地(所轄税務署名)
    • 資格を喪失した事由とその発生した年月日
    • 喪失した事業年度の開始日と終了日
    • 事業の名称
  2. 提出先: 納税地を所轄する税務署の窓口に持参するか、郵送で提出します。
  3. 提出期限: 資格喪失の事実が生じた日から2か月以内です。

ステップ3: 審査・確認

  • 税務署は提出された届出書を受け付け、内容を確認します。通常、特に審査結果の通知などはありませんが、受理されたことを確認したい場合は、税務署に問い合わせるか、書類の控えに受付印を押してもらうことをお勧めします。
  • 届出が受理されると、以後の申告は青色申告者としての取り扱いを受けられなくなります。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 事業をやめたら、必ずこの届出を出さないといけませんか? A1. はい。事業の廃止は青色申告承認が取り消される事由の一つです。事業廃止届と併せて、この資格喪失届を提出する必要があります。

Q2. 提出期限の「2か月以内」を過ぎてしまいました。どうすればいいですか? A2. 速やかに税務署に届出書を提出してください。遅延理由によっては加算税が課される可能性がありますが、自主的に提出することで税務署の対応が変わる場合があります。まずは所轄税務署に相談してください。

Q3. この届出を出した後、また事業を始めたいのですが、青色申告はできますか? A3. 新たに事業を開始する場合、改めて「青色申告承認申請書」を所定の期限までに提出し、承認を受ける必要があります。以前の承認は継続されません。

Q4. 帳簿をつけるのが難しくなりました。自分から青色申告をやめることはできますか? A4. はい、できます。帳簿書類の備付等の要件を遵守できないと判断した場合は、その事実が生じた日から2か月以内にこの届出を提出することで、自主的に青色申告者としての資格を喪失することができます。

Q5. 届出書はどこで手に入りますか? A5. 最寄りの税務署の窓口でもらえるほか、国税庁の公式ウェブサイト「手続名・様式名検索」から「所得税の青色申告の承認を取り消された場合の届出書」を検索し、PDF形式でダウンロードして印刷することができます。

6. リスクとコンプライアンス

  • 提出義務の遵守: この届出の提出は法律(所得税法)で義務付けられています。提出を怠ると、税務調査時に指摘され、過少申告加算税等の対象となる可能性があります。
  • 期限厳守: 「2か月以内」という期限は厳格に解釈されます。カレンダー通りの2か月後が期限日となります。
  • 正確な記入: 資格喪失の事由とその発生日は、今後の税務処理の基準日となる重要な事項です。誤りのないように正確に記入してください。
  • 免責事項: 本記事は国税庁の公表情報に基づいて作成していますが、実際の手続きや税務判断は個別の事案によって異なります。最終的な判断や手続きにあたっては、所轄の税務署に確認するか、税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。

7. 参考と出典

8. 関連トピック

  • 青色申告承認申請書: 新規で青色申告を始めるときに提出する書類です。
  • 開業届・事業廃止届: 事業の開始・廃止時に提出する届出書です。
  • 白色申告: 青色申告を行わない場合の申告方法です。必要経費の計算方法等が異なります。
  • 所得税の確定申告: 年間の所得と税額を計算し、申告・納税する手続きです。
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