建設業許可(都道府県)について
1. 概要
建設業許可(都道府県)は、建設業法に基づき、建設工事の請負を行う事業者が営業を開始するために必要な行政許可です。一つの都道府県内にのみ営業所を設けて営業する場合は、その所在地を管轄する都道府県知事の許可が必要となります。この許可制度は、建設工事の適正な施工、発注者の保護、建設業の健全な発展を目的として設けられています。
2. 適用対象・シナリオ
この許可が必要なのは、建設工事の請負を業として行おうとする個人または法人です。具体的には、土木一式工事や建築一式工事などの「一式工事」、または28種類に分類される「専門工事」を請け負う事業者が対象となります。ただし、請負代金の額が消費税込みで500万円未満の軽微な工事のみを行う場合や、自己所有の物件の建設・改修のみを行う場合は、許可が不要となる場合があります。営業所が一つの都道府県内にのみ存在する場合は「都道府県知事許可」、複数の都道府県に営業所を設ける場合は「国土交通大臣許可」が必要です。
3. 核心的な結論
- 建設業を営むためには、原則として事前の許可が必須です。
- 許可は、営業所の所在地に応じて「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」に分かれます。
- 許可を得るためには、経営業務の管理責任者や専任技術者など、一定の要件を満たす有資格者を配置する必要があります。
- 許可には有効期間(5年)があり、更新手続きが必要です。
- 無許可営業は罰則の対象となります。
4. 手続き・操作手順
ステップ1: 準備
- 許可の種類の確認: 行う建設工事の種類(業種)を決定します。土木一式工事、建築一式工事、とび・土木工事業、管工事業など、全部で29の業種から選択します。複数の業種を申請することが可能です。
- 許可基準の確認: 以下の許可基準を満たしていることを確認します。
- 経営業務の管理責任者: 会社の代表者または使用人の中に、建設業の経営に関し相当の経験と知識を有する者を選任します。
- 専任技術者: 各営業所ごとに、請け負う建設工事に必要な技術を管理できる資格(国家資格等)または実務経験を有する者を専任で配置します。
- 財産的基礎: 請け負った工事を確実に履行できる財産的基礎(資本金の額、自己資本比率など)又は金銭的信用があること。
- 誠実性: 過去に建設業法違反等による行政処分を受けていないことなど、社会の信頼に値する事業活動を行うに足りるものと認められること。
- 申請書類の作成: 必要書類を準備します。主な書類は以下の通りです(詳細は管轄する都道府県の窓口で確認が必要です)。
- 建設業許可申請書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 役員等の経歴書
- 経営業務の管理責任者及び専任技術者の資格を証明する書面
- 財産的基礎等を証明する書面(貸借対照表、損益計算書の写し等)
- 営業所の所在地を記載した図面
ステップ2: 申請・提出
- 提出先の確認: 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県庁の建設業主管課に申請します。
- 申請書類の提出: 上記で準備した申請書類を、管轄する都道府県庁の窓口に提出します。申請手数料がかかりますので、金額は公式情報源で確認してください。
ステップ3: 審査・確認
- 審査: 都道府県庁による書面審査が行われます。申請内容に不備や疑問点がある場合は、追加説明や書類の提出を求められることがあります。
- 許可証の交付: 審査を通過し、許可が下りると「建設業許可証」が交付されます。許可を受けた後は、営業所の見やすい場所に許可証の写しを掲示する義務があります。
- 許可の更新: 許可には有効期間(5年)があります。有効期間満了後も引き続き営業する場合は、期間満了の約3~6ヶ月前までに更新申請を行う必要があります。
5. よくある質問(FAQ)
Q1: 個人事業主でも建設業許可は取得できますか? A1: はい、個人事業主でも許可基準(経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎等)を満たせば、都道府県知事許可を取得することができます。
Q2: 専任技術者になるためにはどのような資格が必要ですか? A2: 国家資格(一級・二級建築士、技術士など)、所定の実務経験年数、指定学科卒業後の実務経験など、業種ごとに定められた要件を満たす必要があります。詳細な要件は国土交通省のホームページで確認してください。
Q3: 許可申請から許可証が交付されるまで、どれくらいの期間がかかりますか? A3: 標準処理期間は約1~2ヶ月程度とされていますが、申請内容の複雑さや審査機関の業務量によって前後します。不備があった場合はさらに時間を要します。
Q4: 他県で工事を行う場合、都道府県知事許可だけでは足りませんか? A4: 営業所(工事現場事務所を含む)が他県にない場合でも、継続的に他県で工事を請け負う場合は、国土交通大臣許可を取得する必要があります。詳細は管轄する都道府県または国土交通省にご確認ください。
Q5: 許可を受けずに建設工事を請け負った場合、どうなりますか? A5: 建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)に処せられる可能性があります。また、行政処分として営業停止等の命令を受けることもあります。
Q6: 許可の有効期間は何年ですか?更新手続きは? A6: 許可の有効期間は5年です。更新を希望する場合は、有効期間満了日の約3~6ヶ月前までに、所定の更新申請手続きを行う必要があります。
6. リスクとコンプライアンス
- 無許可営業のリスク: 前述の通り、無許可で建設業を営むことは重大な法令違反であり、刑事罰の対象となります。発注者からの信頼を失い、事業継続が困難になるリスクもあります。
- 虚偽申請のリスク: 申請書類に虚偽の記載をした場合、許可が取り消されることがあります。
- 許可条件違反: 許可後も、専任技術者の不在、財産的基礎の喪失など、許可基準を満たさなくなった場合は、改善命令や許可取消しの対象となります。
- 免責事項: 本記事は建設業許可に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な事案に関する法的助言を目的としたものではありません。実際の申請手続きに際しては、必ず管轄する都道府県庁の窓口または専門家(行政書士等)にご相談の上、最新の公式情報をご確認ください。
7. 参考と出典
- 国土交通省 建設業許可制度
- 国土交通省 建設業法(法令データ提供システム)
- 各都道府県庁の建設業主管課のウェブサイト
- (例:東京都の場合)東京都都市整備局 建築リフォーム・建設業
- https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/kenchiku/index.html
- (お住まい・事業所の所在地の都道府県庁ウェブサイトを「建設業 許可」等で検索してください。)
8. 関連トピック
- 法人設立登記
- 建設業許可(国土交通大臣)
- 宅地建物取引業免許
- 測量業登録
- 水道工事業者登録